落語 怪談牡丹灯籠 立川志の輔さん

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怪談 牡丹灯籠 三遊亭圓朝さん作の落語。

三遊亭圓朝さんは、江戸時代末期に生まれ、明治33年に亡くなるまで活躍された落語家です。

この作品はあまりにも壮大なドラマであり、登場人物も多く、怪談というよりも人間が持っている強欲さと武士の忠義を描いた作品だと思います。

怪談はこの物語の一部に出てきますが、主人のために忠義を尽くす武士の物語色が強いと感じました。

目次

怪談 牡丹灯籠 壮大な物語

初めて牡丹灯籠を聞いたのは2017年夏でした。

本多劇場にて立川志の輔さんの公演でした。

当時、圓朝さんは1日2時間、15日連続約30時間をかけ、この物語を演じました。

昔は録音・録画する機材なんてものはあるわけないので、速記者に頼んで高座で語ったおの物語を記録してもらったそうです。おかげでいまでも語りつがれています。

現代では30時間も公演できませんので、場面ごとに分けて高座にかけられています。

2018年7月にお亡くなりになられた「桂歌丸さん」が「栗橋宿のくだり」を観たことがありますが、ゾッとする感じで熱演されていたのを記憶してます。

立川志の輔さんの牡丹灯篭は約2時間

本多劇場で立川志の輔さんの牡丹灯籠は2部構成になっていて、前半が物語の解説で後半が落語となっています。

だから初めて牡丹灯籠を観る方も、わかりやすい演出となていました。

ただし、前半の解説で驚いたのは、牡丹灯籠という物語は登場人物がめちゃくちゃ多いので、憶えておくと各場面の情景が浮かんで、より一層楽しめますよ。

牡丹灯籠 登場人物の整理

登場人物が、とにかく多い。落語でこれだけ登場人物が多い作品はあまりしらない。

・飯島平左衛門(家督を継ぐまでは平太郎)

・お露(平左衛門の一人娘。のちに幽霊となって現れます。)

・お國(平左衛門の妾。とんでもない悪女。)

・黒川孝蔵(酒がもとで、身分も嫁も失う。平太郎の家来に絡んで切り殺される。)

・孝助(飯島家に方向に来た忠義な若者。実は黒川孝蔵の息子。)

・萩原新三郎(浪人・・田畑や長屋を所有しており、その収入で生計を立てている。)

・山本志丈(いちおう医者であるが、かなりいい加減な男)

・伴蔵とおみね(新三郎の所有する長屋の住人。夫婦。のちのち欲を出す。)

・源三郎(飯島家の隣家の次男。お國と通じており、やがて一緒に主人である平左衛門を裏切る不届きもの。)

・白翁堂勇斎(新三郎の長屋の住人。稼業は人相見。よく当たる。

・新幡隋院の和尚(勇斎とは知り合いであり予見が当たる。)

・相川新五兵衛(孝助の義理の父親にあたる。)

・お徳(相川新五兵衛の一人娘。やがて孝助と結婚する。)

・相助(飯島家の奉公人。お國や源三郎にいいように使われる。)

・亀蔵と時蔵(孝助を殺そうとした悪い奴ら。)

・おりえ(孝助の実母。孝助が四歳の時に黒川孝蔵と離縁。)

と、このように物語が進むにつれて登場人物がだんだんと増えてきます。

これだけの登場人物がいるので、志の輔さんは名前が書いてあるボードを舞台袖から引っ張り出して、観客に説明してくれました。

牡丹灯籠 あらすじ

若かりしころの平左衛門が江戸は本郷の刀屋(藤新)で刀を観ていた時に、家来の藤助が黒川孝蔵に絡まれ、事の成り行きから平左衛門が孝蔵を切り殺してしまった。

お咎めはなく、その後、家督を継ぎ結婚もして一人娘を授かるも、奥様はなくなってしまう。奥様のお付きをしていたお國を妾としたが、ここからが間違いの始まり。

妾のお國と一人娘のお露の仲が悪く、お國は平左衛門へなんだかんだと言って、柳島に別宅を購入しお露を住まわせた。

そこへ、飯島家に出入りしていた山本志丈が萩原新三郎を伴って、梅を見に出かけて帰りに、柳島の別宅へ立ち寄った。

そこで、お露と新三郎は恋仲となるも、草食系の新三郎は一人でお露に逢いに行くことができない。

もっとガツガツしていれば本当に夫婦になれたかもしれないのにもったいない。

お露もまだかまだかと、新三郎がやってくるのを待ち焦がれていたが、恋煩いが重症となり亡くなってしまう。後を追うようにお付きのお米もなくなってします。

二人は新幡隋院に葬られるも、新三郎との恋を成就したいお露は幽霊となって、毎晩新三郎の元を訪れるようになった。

毎夜、お米が牡丹の燈篭を持ち、駒下駄のカランコロンという音とともにやってくるんです。

夜よなかに新三郎のところに誰かがやって来ては、話し声が聞こえるのを不思議に思った、長屋の住人の伴蔵は、こっそりと覗いてしまった。

まさか!幽霊と会話している新三郎

伴蔵は、新三郎が幽霊と話しているところを覗き見し、翌朝まだ日が昇る前に人相身の白翁堂勇斎の元に行き、昨夜のことをすべて話した。

勇斎は、さっそく新三郎の元を訪れ、訪ねてくる娘が幽霊であることと、新三郎に死相が出ていることを告げる。

新三郎はお露が本当に死んでしまったことを確かめつために、お露が住んでいた別宅へ向かい真実をしる。

勇斎に薦められて、新幡隋院の和尚に相談すると、お札と如来像をもらった。

新三郎は、お札を家の入口すべてに貼り、如来像は首から下げて家に引きこもった。

効果は抜群で、毎夜毎夜カランコロンと駒下駄の音とともに、お露とお米が現れるが、新三郎に家に入れない。

伴蔵がお露のアシスト!ついに新三郎の元に侵入成功

伴蔵は、毎夜訪れるお露とお米から、新三郎の家に入れるように懇願される。ところが、おみねは伴蔵が浮気していると勘繰り事情を聴くが信用しない。

当たり前ですよね、幽霊と会話していると言っても誰も信用しません。

伴蔵はおみねに幽霊を覗き見させて、信じてもらうと悪だくみを思いつく。

幽霊にお金を持ってくれば、お札を剥がしてあげる。

この話に、二人の幽霊は承諾して、実家からお金を持ち出し、これを伴蔵に渡す。

そして、新三郎の首に掛かっている如来像をとれば、幽霊との約束が果たせたうえに、高価な如来像を手にいてられると嘘を言って新三郎から如来像を捕ることに成功!

これで、幽霊の二人は願いが叶い新三郎に逢うことができ、新三郎はなくなってしまう。

孝助が邪魔なお國と源三郎!不倫のなれの果てに

孝助が飯島家に方向に来た理由が、父親である黒川孝蔵の仇を打つため、剣術を学びたいという理由。

飯島平左衛門は剣術の達人であり、孝助にとってはなげったり叶ったりの奉公先。

孝助は主人の平左衛門に尽くし、やがて可愛がられる存在になる。

そして孝助が剣術を学びたいと懇願され、その理由をしると、その仇が自分であることを悟る。

それでも、孝助をかわいがるも、妾のお國にとっては邪魔な存在でしかない。

隣家の次男坊、源三郎といい中で、平左衛門が仕事で不在の時は、こっそりと源三郎とやることをやっている。

さらに平左衛門を殺してしまおうと計画を立てたが、孝助に聞かれてしまう。

なんとかして孝助を陥れようと、あの手この手を使うも、平左衛門は薄々気づいていた。

そんな、ある夜に孝助は主人の平左衛門のために、お國と源三郎を殺して自分も自害しようと決める。

実行に移したものの、誤って主人をやりで突いてしまう。

すでに覚悟を決めていた平左衛門は、孝助を逃がし手負いの状態のところへ源三郎が現れる。

源三郎はとどめを刺すも、足を怪我してしまう。

飯島家にある金品を持って、お國と逃亡を企てる。

主人の仇を打つ!孝助が旅たつ

飯島家から婿養子へいく予定の相川家に行き事情を話した。

相川新五兵衛はとにかく、飯島家戻ろうとする孝助をなだめた。

なんとか気持ちを落ち着かせた孝助は仇討に旅起つと言い出したので、そのまえに娘と結婚をしてほしいと頼み、孝助は結婚した。

孝助は、お國の出身地の北陸まで足を延ばすも、一向に足取りは掴めない。やがて一年を迎えるころに一旦江戸にもどる。

江戸にもどった理由は、平左衛門の一周忌を行うためだった。

栗橋宿で思いもよらない展開に発展

新三郎の長屋の住人だった伴蔵とおみねは、伴蔵の出身地栗橋で幽霊からもらったお金で商売を始める。

意外と評判になり、商売は順調にいく。

ところがここから意外な人物たちが出てくる。

商売を成功させた伴蔵は、そのうちとある店で働いている女中に入れあげる。

これが、女房のおみねにばれて、夫婦喧嘩となる。おみねは、いますぐ家を出るからお金をよこせと要求する。

伴蔵は仲直りを装い、二人で食事に出かけるが、帰り道でおみねを殺害してしまう。

ひどい男ですね。ところがですよ、女房が殺された哀れな亭主を演じていたのもつかの間、店で働く女中のおみねが高熱でうなされる。

奇妙なことに、自分たちのいままでの悪事をペラペラとしゃべりだした。

内心ではヒヤヒヤしていた伴蔵でしたが、栗橋宿に江戸から医者が来ている聞き付けた。

いざ、医者がやって来て驚いた。あの山本志丈じゃないか!

悪事をしゃべる女中をみて、山本志丈は気が付いた。

一周忌供養のあと、孝助は実母に出会う

一旦江戸に戻った孝助は一周忌法要を済ませた。一年も仇討の旅を続けているうちに、家で待っていたお徳はお子供出産。

旅起つ前に、やることは済ませていたが、まさか子どおができているとは思っていなかった孝助は驚いた。

さらに、驚くことが起こる。一周忌法要後に和尚から、神田に引っ越したあの白翁堂勇斎のところに行くように勧められる。

勇斎のところに行き、自身の望みは叶うかと尋ねると、危ういことがあるが望みは叶うと告げられた。

さらに会いたい人がいるが、たぶんかなわないだろう、でも生死はどうかと尋ねた。

するともう会っていると言われた。実はこの時、四十過ぎの女が勇斎のところを訪れていた。

この女こそ、孝助の実母であった。

驚きはこれだけじゃなかった!実母の嫁ぎ先の娘がお國だった

実母は再婚していた。その嫁ぎ先の娘がお國だった。

伴蔵といい中になったが、これは伴蔵からお金をせしめるための作戦だったが、うまくいかず宇都宮の親せきを頼ることになった。

その宇都宮が孝助の実母が住んでいるところだった。

事情を聴いた実母のおりえは、孝助に仇を打たせてあげると約束をする。

江戸に遊びに来ていた実母のおりえは、急遽宇都宮へ帰ることになる。

ここまでくると、話は大詰めですが、かなり急展開な場面が多くなります。

宇都宮に着くと、孝助は旅籠(いまでいうホテル)にとまり、実母と打ち合わせたとおりに仇討の準備をして、予定の時間まで待っていた。

ところがところが、ここで実母のおりえが裏切るんですよ。

お國は幼少時から、ずる賢く男を手玉に取る性格で厄介者ではあったため早くから方向に出されていた。

そんなお國でも、おりえの嫁ぎ先でもあり恩義を感じて、匿っていたお國と源三郎を逃がしてしまう。

それを知らない孝助は、時間通りに敵討ちにやってきたが、すでに逃げていた。

事情を聴いたら、おりえが逃がしたことがわかった。おりえは自害をして孝助に詫びるとともに、逃走経路を伝える。

必死に逃走経路をたどっていくと、お國と源三郎のほかに、亀蔵と時蔵が奉公人を首になって江戸から、この地にやって来て山賊まがいの追いはぎをしていた。

お國と源三郎は亀蔵と時蔵を言いくるめ、孝助が来たら殺してしまえと命令。

しばらくすると、孝助がやって来て、亀蔵と時蔵の襲撃を受けるも、何とか交わし二人を成敗。

そしてお國と源三郎もついに捉えて首をはねて、無事に主人の仇を討った。

牡丹灯籠 まとめ

牡丹灯籠は怪談噺だと思っていたが、こんなにも壮大な噺だと思わなかった。

これだけ壮大な噺を、約2時間で演じる立川志の輔んさんが凄いと実感しました。

ただ、これだけすごいと、あと数回見ておいたほうがいいかもしれないです。

ブログには書きましたが、ところどころ間違っていたり記憶違いがあるかもしれません。

だから、来年もみておこう!

追記

2018年の公演は8/2日から12日まで下北沢の本多劇場で行われます。

既にチケットは完売のようです。

 

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