落語

オンライン配信落語を体験してみました。

コロナ禍の影響で昨年(2020年)は初席に行ったきり、寄席に行くことがなくなりました。

2020年4月には緊急事態宣言が発出されて、寄席もしばらく休演となりました。5月にはオンラインで落語を配信し始めました。

配信を始めた直後の2020年5月に「橘家文蔵さんと柳家喬太郎さんの二人会」と、つい先日2021年4月に「柳家喬太郎独演会」の配信を体験してみました。

オンライン配信 落語のメリットは3つあるよ

オンライン配信による落語のメリットは3つあると感じました。

まず、パソコンやスマホ・タブレットがあれば、いつでも落語を楽しむことができます。

そして、ホール落語だと、チケット代が4,000円から5,000円ほどになりますが、オンライン配信だと半分程度の代金で見ることができます。

最後は、アーカイブ配信もあるので、都合の良い時間にいつでも見られるんです。

これって、いままでなら会場に行かなければ見られなっかた公演が、会場に行かなくても見ることができるようになりました。

噺家さんにとっても、新たなファンを獲得するチャンスになります。

オンライン配信 落語のデメリット

オンライン配信にはメリットもあればデメリットもあります。

オンライン配信で落語を見るにはインターネット接続が必須になります。また、チケットの申し込みや告知を知るには、パソコンやスマホを十分に利用できるのが前提です。

寄席やホール落語に何度も行きましたが、お客様の半分近くは60歳以上でスマホを持っていてもチケットを購入できるでしょうか。

多分50代、60代もスマホやパソコンを使い慣れていて、普段からネットで何かを購入しているような方であれば、チケットの購入も問題なく簡単にでききます。

チケットを購入できても、配信で落語を見るには、いろいろと手続きや設定も必要です。

いままで、寄席に行っていたお客様は、そもそもオンライン配信に興味はないかもしれません。

そして、一番のデメリットは、噺家さんが画面越しのお客様に語り掛けるので、その場の雰囲気が読み取れないことだと思います。

これは、いかんともしがたいことですが、この問題を解消できたなら、寄席やホール落語に近づけると思います。

オンライン配信落語の今後を考えてみた

オンライン配信落語にはメリットもデメリットもあります。そしてコロナ禍だからこそ、オンライン配信落語は成り立っているかもしれません。

もし、今後コロナが収束して、普段の生活が戻ってきてらオンライン配信落語はなくなってしまうのだろうか。

自分的には、オンライン配信が、すぐになくなるとは思えないんです。配信の仕組みさえ準備できれば、場所はどこでもいいわけです。

海外に住んでる日本人だけじゃなく、海外の人にも見てもらうことができるんだから、むしろ落語という芸が世界に進出するきっかけになるかもしれません。

まだ、寄席もホール落語も、制限があって満席にすることは無理ですが、オンライン配信の仕組みで、いままでなかなか寄席やホール落語に行けなかった人に落語を楽しんでもらえるチャンスではないかと感じています。

柳家喬太郎 落語生活30周年記念落語会に行ってきた

スズナリ

柳家喬太郎が落語生活30周年記念として、2019年11月1日から11月30日まで、下北沢「ザ・スズナリ」で日替わりゲストを迎えて連日公演されました。

全公演に行きたいのですが、それは無理なので26日の公演に行ってきました。

Youtubeでは聴くことができない、公演ならではの話しを聴くことができ、とてもよかったです。

今回のゲストは、柳家花緑さんでした。小さん師匠の弟子である花緑さんと兄弟弟子のさん喬さんの弟子の喬太郎さん。前座・二つ目の頃からの間柄。

今回、喬太郎さんの演目は、小さん師匠の十八番という事もあり、花緑さんは非常によろこんでいたようです。

柳家小太郎 唖の釣り

開口一番は、喬太郎さんの弟弟子にあたる小太郎さん。

小太郎さんが高座にあがると、あえてアウェー感であるがごとく、若干自虐的なマクラでしたが。このあとに出てくる喬太郎兄さんをしっかりフォローしながら、落語へ入っていく。

噺の内容は、殺生が禁じられている上野の不忍の池で釣りをするというもの。

不忍の池で釣りをしているのがバレると罪になるという事ですが、もし見つかりでもしたら、「母が病気で元気を付けるために鯉を釣って食べさせる」と口実をついて切り抜けようと、釣り好きの七兵衛が、与太郎を誘う。

入れ食い状態の与太郎は、はしゃぎすぎて役人に見つかってしまう。それどころか言い訳は間違えてしまう。でも、母の為と言う口実はなんとか通じたようで、無罪放免。

本当なら、捕まったあとは相図を送るはずが、与太郎さんはそのままご帰宅。

そんなことを知らずに、七兵衛さんは釣りを続けていたら、こちらもお役人に見つかってします。

いきなり見つかったことで驚いて顎が外れてしまい、ジャスチャーで状況を説明。これもなんとか切り抜けて無罪放免。でも、最後に外れた顎が元に戻って。

と、この噺は「おし」と言って差別的なニュアンスもあり、現代的にアレンジしている。特に喋れなくなった状態で相手に伝える手段としてジャスチャーを使っています。

古典落語には、盲目の方や耳が聞こえない方などが主人公になる噺がいくつかあります。そのため現代ではめったに演じないのですが、内容をアレンジしたりしながら継承しています。

柳家花緑 「明け烏」

喬太郎さんよりも若いのですが、花緑兄さんと言われています。

花緑さんの師匠は小さん師匠で、小さん師匠から見て喬太郎さんは孫弟子にあたります。

そんな中の二人ですが、本日の喬太郎さんの演目は小さん師匠が十八番にしていたと言われる噺を2つ選んだことに感慨深く感じていたようです。

なにか、とても嬉しそうに、演目について語っておりました。
また若かりしことの二人の出来事についても嬉しそうにしていたのを感じました。

いつ聞いても花緑さんの落語はわかりやすさとアレンジして作り上げている点だと思います。

初めて落語を聞く方にもわかりやすく聞いてもらうために、マクラで演目の説明をちょっと加えるんです。そして本題に入っていく。

今回の噺「明け烏」にしても吉原というところがどういうところか、どんな人物が登場するのかなど、ほんの少し解説してくれます。

今回の演目「明け烏」のあらすじは、大店の若旦那が堅物すぎて主人が町内の遊び人二人に頼んで、吉原へ連れて行き遊びを覚えさせるもの。

とは言え、そもそも遊郭などに興味がない若旦那を連れ出す口実として、お稲荷さんへ泊まり込みで参詣に行こうと誘いだす。

ところが、辿りつた場所が場所なだけに帰りかがるし、駄々をこねて泣き出す始末。

遊び人の二人は、吉原に入るときにあった大門では行きに三人で通ったのだから、一人で帰ると怪しい人物だと思われて捕まってしまうと脅し、なんとかなだめる。

それでもグズグズしていると、花魁にほだされて一晩過ごすやいなや、朝になり部屋へ迎えに行くと、帰りたいが花魁が手を離さないんだとノロケ始末。

遊び人の二人は昨晩全然持てなくて、すねているところに、若旦那にこんな風に言われて面白くない。

そこで二人は「じゃ、先に帰りますよ」と言うと、すると若旦那が「帰れるもんか、三人一緒に帰らないと大門で捕まりますよ」

柳家喬太郎 猫久

猫久は、小さん師匠の十八番。

マクラで、花緑師匠が真打になった時に披露口上の公演を一緒に回った時の事や落語協会に小さん師匠の同級生がいたことなど、落語よりも長く話していました。

さて、猫久という落語ですが、貧乏長屋に住んでいる久六という八百屋さん。大人しく怒ったところ見たことがないことから猫久さんとか猫さんと呼ばれていた。

同じ長屋に住む熊さんが、ある日血相を変えて長屋に戻って来た猫さんをみた。帰るなり女房に「今日と言う日は簡便ならねぇ、刀をだせーー」と女房に迫る。

女房は止めるどころか、刀を出し神棚に向かって上げて拝み、三度ばかり頭の上に戴くと亭主に渡し、急いで家を出た。

この一部始終を見ていた熊さんは、驚いたのと同時に誰かに言いたくて仕方ない。髪結いでこの事を云うと、そこに居た侍が訳を知りたがったので、事の一部始終を告げた。

侍は猫久という人物を化け物と勘違いしていたが、よくよく説明を聞くと、一大事に女房の取った行動に感動。自身の息子にもそのような嫁が欲しいと感心しきり。

熊さんは、その話を自分の女房にしようと帰ってみたが、家ではおかずの魚(イワシ)を本物の猫に取られてしまい、猫を退治しようと女房にすりこ木を渡すようにいうと、すりこ木を神棚に向かって三度ばかり頭の上に戴いて亭主に渡す。

当時、魚料理は臭いが付くからと女房は作りたがらなかったらしいです。

魚をすり身に知るのは、魚屋さんか亭主だったそうです。だから亭主はすりこ木を使い慣れていたので、刀の代わりにすりこ木を持って来いと言ったとか・・・

柳家喬太郎 うどん屋

この噺の一番の見せ場はうどんを食べる所ではないでしょうか。

マクラでは地方公演で秋田に行ったときに食べたおそばの話しから落語に入っていきました。

屋台を担いで売り歩くうどん屋さん。

おーーい、うどん屋さん、と声を掛けられ屋台を下ろしてみると酔っ払い。

寒いからちょっと火にあたらせろと言い、今日のめでたい話をし始めるので仕方なしに聞いている。

そのうち注文するかと思いきや、うどんは食べないと言って去ってしまう。

全く商売にならない。

「うどーん、鍋焼きうどーーん」と売り歩いていると、今度は女が呼び止めたので、行ってみると「赤ん坊が寝てるから静かにしとくれ」と言われる始末。

今日は商売にならねーなーーと思っていたら、とある大店の前で擦れた小さな声で「うどん屋さん、一つ下さいな」と奉公人。

なんでこんなに声が小さいのか?これはもしかすると、店の主人や番頭さんに見つかるまずいのか。これだけの大店だから2,30人は奉公人がいるはずだ。

見つかるとまずいから一人ずつ食べに来ているかもしれない。もしかすると今日一日分の商いがここで出来ると勝手にもくろんでしまう。

うどん屋さんも気を使ってなのか、小声で対応をする。

さてここで奉公人がうどんをすする場面。喬太郎さんがうどんをすするんですが、本当に本物のうどんを食べている様に見えるから不思議。

どんぶりから湯気が立っているようで、お汁の香りまで伝わってくるような気がしました。これが芸なんだと感心させられました。

そして食べ終えてお代を払ったときに「うどん屋さんも風邪をひいたのかい」

この日は、古典落語を4作も聴くことができ感動しました。

終演後、ロビーには公演ごとに描かれた色紙を見ることができました。その日その日の公演の感じが伝わりました。

そして驚いたのは、出演した花緑さんもロビーに居たんです。居たというよりも演者も観客も出口が一緒のようでした。

ほんの1,2mのところに花緑さんです。周りの方と気さくに会話をしながら会場を後にしていました。

生で観る落語は、まるで演劇をみているかのよう、素晴らしい話芸です。

特選落語会 古今亭菊之丞 文七元結

2018年12月15日、一ツ橋ホールにて落語特選会に出かけてきました。

出演は、三遊亭兼好さん、桃月庵白酒さん、そして古今亭菊之丞さん。

今回もっとも印象深かった落語家さんは、古今亭菊之丞でした。

今回の演目は落語と言うより、独り舞台を見ているようでした。

落語と言うよりも、物語の風景が見えてきて、舞台のようで、落語って笑わせるだけじゃなく、魅せるということもあるのかと感じました。

今回、古今亭菊之丞さんは「文七元結」という噺。

古典落語 文七元結 あらすじ

文七元結のあらすじを簡単に紹介しておきます。

腕のいい左官職人の長兵衛さん。

しかし、仕事もしないで博打に明け暮れ、借金は膨らんで家計は火の車。

五十両の借金を、娘が吉原に身売りしてまで肩代わり。

娘を預かっている吉原の佐野槌から使いの者が着て長兵衛さんが訪ねてみると、初めて娘が身売りしたことを知る。

女将は五十両を長兵衛に手渡し、来年の年末までに五十両を返済すれば、娘は返す。一日たりとも遅れたら、鬼になって娘に客を取らせる。

それまでは、自分ももとで身の回りの世話をさせておくと約束。

長兵衛は五十両を懐に家路に向かうが、その途中で通りかかった吾妻橋で身投げをしようとしている若い男の文七と出くわす。

見て見ぬ振りができない長兵衛さんは、文七を説得して身投げの理由を聞いてみると、集金したお金をすられた様で、このままお店に戻れない。

そこで長兵衛さんは、文七に自分が持っていた五十両のいきさつを話して、文七にあげてしまうんです。

すっからかんになった長兵衛さんは、家に戻ると奥さんと大喧嘩!

一方、文七はお店に戻り、五十両を主人に渡すも、主人から「この五十両はどうした」と聞かれる。

文七は、買掛を回収してきたと説明するも、実は文七、回収先で大好きな碁の相手をしているうちに夢中になってしまい、回収した代金を忘れて帰って来ていた途中で、懐に代金がないことに気が付きすられたと思い身投げを決心。

碁の相手先は、忘れていった五十両を届けてくれた。だから文七が五十両を持って帰ってきたので、どうしたのかと聞いてみた。

吾妻橋での一件を説明したが、五十両をくれた男性がどこの誰だかわからない。ただし、五十両をもっていたいきさつを覚えていたため、それをヒントに主人と文七で長兵衛さん探しを始める。

ちなみに番頭さんは佐野槌に向かって、娘を見受けし長兵衛さん宅へ向かう。

先に向かっていた主人と文七は、五十両の礼をいい、返そうとするもいったん出した金は受け取れないと意地を張る。

そこへ娘を連れた駕籠が到着し親子で対面し一件落着。

主人は、やがて文七と娘に所帯を持たせ、
二人して麹町貝坂に元結屋の店を開いたという、「文七元結」由来の一席。

落語はかたるだけではなく魅せるもの

古今亭菊之丞さんの落語は、寄席などで何度か見ているが、いつも思うのが魅せる落語家の一人であるという事。

落語は登場人物一人一人が語りの中から想像でき、舞台を観ている様に語る話芸だと思います。

今回の話も、古典落語であり、いままで多くの落語家さんが寄席やホール落語で演じてきている演目の一つです。

登場人物や場面の多さに、演じる落語家の技量が問われる作品です。

吉原の女将や大店の主人と番頭、そして長屋の貧乏な夫婦。登場人物以上に場面場面を切り替えて、あたかも舞台で演じている等に魅せる技術に落語のすばらしさを感じます。

まさに落語は魅せるもんだと実感した高座でした。

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鈴本演芸場!落語はナマで鑑賞すると面白さが100倍

東京都内には、落語を鑑賞できる常設の寄席が4つあります。

今回は、そのうちの一つ上野御徒町にある「鈴本演芸場」を紹介します。

中央通りに面した場所にありながら、見過ごしてしまいそうな場所にあります。

鈴本演芸場 場所の確認

鈴本演芸場は、JR上野駅から徒歩10分くらい、JR御徒町駅から徒歩7分くらい、東京メトロ銀座線上野広小路駅A3出口・都営大江戸線上野御徒町駅A3出口から徒歩1分くらい。

住所は、台東区上野7-2-12です。隣に「すしざんまい」があり演芸場より目立っているので、目指すなら「すしざんまい」を目指せば、すぐに見つけられると思います。

鈴本演芸場 営業時間

営業時間は、昼の部12:30分から16:30分まで、夜の部17:30から20:40となります。

昼夜2回公演・完全入替制で1年365日営業してます。

特別公演以外は、基本的に自由席なので、早いもの順になります。

人気の落語家さんが出演するときは、早めに行かないと立見になることもあります。

ただし、演目と演目の間で席が空いていれば、係りの方が案内してくれることもあります。

場内は、おおむね年配客になるので、落ち着いた感じです。

入場料金はいくらなのか

鈴本演芸場の入場料は、一般2,800円、学生2,500円、子ども1,500円となっています。

特別興業や余一会(31日)の場合は、特別料金となることがあります。

特別興業は先行販売もありますので、事前に確認しておきましょう。

鈴本演芸場 座席数はどのくらいあるの?

鈴本演芸場の座席数は、286席あります。

入口で入場券を購入し、入口で半券をもらい奥まで進みます。

演芸場の入口は2か所あります。

奥の右手のエスカレーターに乗り一気に三階へ行くと演芸場があります。

1つ目の入口は、エスカレーターを降りて右に折れると入口があります。演芸場の一番後ろの入口になります。

2つ目の入口は、エスカレーターを降りて右手後方に進みむと、右手に売店が見えます。

入口は左手にあり、舞台(高座)の前方に位置しています。

演目がすべて終わり退場時には、下りのエスカレーターになります。

鈴本演芸場 売店は何を販売しているの?

売店では、お土産品と軽食・お菓子を販売しています。

飲み物は自動販売機で購入できます。アルコール(ビール)も販売していますので、飲みながら鑑賞できます。

自動販売機は、階段を下って2階にあります。

座席には小さなテーブルが付いていますので、飲み物や食べ物を置くことができます。

お土産は、手ぬぐいやボールペンなどが販売されています。

途中退場はできるの

演芸場に入場後に退場するときは、半券を見せて戻った時も半券を見せれば再入場できます。

先に席を確保してから、飲み物や食べ物を買いに行くことも出来ます。

入口を出て左手にコンビニがあります。

開始時間15分前までに戻りましょう。前座さんの落語が始まってしまいます。

演目中の退席は控えましょう。トイレなどに行くときは、、演目と演目の間に済ませましょう。

タバコは吸えるの?

喫煙は1階のロビーに灰皿があるので、そちらで済ませましょう。

ロビーとってもそれほど広い場所ではないので、タバコを吸わない方に配慮していただけると嬉しいです。

演芸場内での諸注意

まずは、撮影や録音はNGとなっています。

客層が高いので、撮影してSNSにアップするような感じではありません。

携帯・スマホはマナーモードにするか電源を切っておきましょう。

また、周りのお客様の迷惑にならないようにお願いします。

まとめ

鈴本演芸場は毎日演芸が楽しめます。

落語はYouTubeやDVDなどでも観ること聴くことはできますが、演芸場で観たり聴いたりする落語は全く違うものだと思って下さい。

演芸場では、落語家が高座に上がる前にそれまでにどんな噺をしたか台帳を確認し、さらに高座に上がってから客席にいるお客さんを見ながら、枕と言われる導入で反応をみて先に進めます。

今日のお客様だけのために演じているといってもいいのではないかと思います。

YouTubeやDVDと大きく違うのは場の雰囲気ではないでしょうか。

会場の雰囲気を味わうのも寄席ならではのものです。

新宿末廣亭 落語を見るなら寄席が一番

新宿末広亭 7月中席夜の部に行ってきました。

都心のど真ん中、新宿三丁目に昭和初期の佇まいを醸し出す建物が新宿末廣亭。

周りは飲食店が立ち並び、夜はサラリーマンやOLさんで溢れかえる街。

そんな立地に新宿末廣亭はあります。

今宵も仕事帰りに、寄席に立ち寄ってみました。

末廣亭 夜の部 17時から21時まで

仕事帰りという事もあって、末廣亭に到着したのは19時をほんのちょっと回ったところ。

ちなみに、夜の部は19:45分を過ぎると入場できませんのでご注意ください。

入場料は3,500円ですが、開演から2時間を少し回っていたため1,500円でした。

中入り(休憩)前でした。中入り前に高座に上がって落語が出来るのは、主任(トリ)の次に大きなネタを演じられる落語家さんです。

途中で入場したら、係員さんから座席の最後尾で待つように言われます。

これは、いま演じている落語を聞いているお客さんと落語家さんへの配慮ですね。

中入りに入ると、途中入場した方や既に座られる方がトイレや売店に向かうため、一斉に移動が始まります。

今回は、桟敷席が空いていたため、靴を脱ぎ座敷に腰掛けました。

脱いだ靴は、席の処に靴を入れるところがあるので、そこに収納しておけます。

ちなみに2階席もありますが、2階席に上がるときは、靴をビニール袋に入れるようです。

末廣亭 東京にある4つの定席(寄席)の一つ

末廣亭は東京の定席としては、唯一木造の建物なんです。

周りはビルに取り囲まれていて、末廣亭だけ時代が止まってしまっているような錯覚に陥ります。

でも、古いという感じではなく、どこか懐かしい雰囲気のある建築物ですね。

客席は1階と2階合わせて計313席。

1階中央に椅子席、その両側に桟敷席があります。

都内の定席で畳敷きの桟敷席があるのは末廣亭だけ。

入場した途端に、別世界に来たようです。

なんと表現したらいいのか、ぜひお立ち寄りください。

末廣亭の売店

売店は、入口すぐの右手にあります。

飲み物や軽食・お菓子やお土産品などが販売されています。

アルコールの販売はありませんし持ち込みもNG。酒気帯びでの入場もNGです。

食べ物は持ち込んでもいいんですが、匂いがするものなどは周りのお客様の迷惑にもなるので控えましょう。

おにぎりやいなりずし、お団子など軽いものがお勧めです。

末廣亭のすぐそばにコンビニがありますので、そちらで簡単なものなら購入できますよ。

売店の営業は、開演前と中入りのときです。

雰囲気として、昔の駄菓子屋さんのような風情です。

末廣亭 テレビでは見ることが出来ない芸の宝庫

さて、今回の公演レポートですが、寄席に来て毎回思うことは、テレビなどでは見ることが出来な芸の世界を垣間見れます。

寄席は落語だけじゃなく、色物と言われる漫才・物まね・漫談・奇術・神楽など様々な芸を1年365日毎日上演しています。

テレビでは見られないものばかりだし、寄席に行かなきゃ見ることが出来ません。

とても貴重な体験ができる場所です。

今回は、漫才に漫談あり、そしていま人気の落語家「春風亭一之輔師匠」が主任(トリ)を務めました。

入場するとプログラムをもらいます。これは本日出演する方が載っているほか、今後のお知らせなどが記載されています。

スケジュールに記載されていない方が出演?

寄席は毎日行われているため、やむを得ず出演できないこともあります。

そのようなときは、必ず代理で出席して欠席した落語家さんの穴を埋めてくれます。

今回は、2人の欠席がありましたが、ちゃんと穴埋めもあえい、なおかつ大いに楽しませてくれました。

こういった事態にも対応できる仕組みがあることが凄いですね。

お金を払ったお客側からしたら、当たり前だと思うかも知れませんが、不測の事態を常に意識して即対応できるようになっていることが素晴らしいです。

寄席だから体感できる芸の道

今回は途中から入場したこともあり、1組の漫才、1組の漫談、4人の落語家さんの芸を楽しむことが出来ました。

まず、漫才は「笑組(えぐみ)」さんんです。

芸歴は長く1986年に結成された内海好江さんを師匠に、漫才だけじゃなく三味線や長唄なども叩き込まれたそうです。

ボケ担当のゆたかさんは、伊集院光さんとお互いの師匠の付き人時代から顔見知りと足立区出身という間柄から、以前は伊集院さんのラジオ番組のアシスタントをされていたそうです。

舞台では、ゆたかさん(座席から見て右側の方)が80%以上しゃべくりまくります。

相方さんは、たまにつっこみますが、ほぼゆたかさんの漫談のようです。

しかし、それが二人の持ち味で相方をいじり乍らの漫才です。

えげつなく頭を叩いたりするような突っ込みもなく、聞いていてクスクスできる笑いです。

またしゃべりもゆっくりで聞き取りやすく、客席を見ながら、こちらの状態を感じながら漫才を見せてくれます。

次にギター漫談の「ペペ桜井」です。

初めて見る方です。年齢も80歳以上のようで、ギター片手に喋ります。

幾分ギターの音が外れている様に聞かせて笑いを取っていますが、しゃべりもなかなかです。

落語協会のHPに経歴が載っていますが、写真が若すぎます(笑)

春風亭一左 「浮世床」

落語は、まず春風亭一左さん。

春風亭一朝師匠に入門した二つ目の落語家さんです。

今回の噺は「浮世床」という滑稽噺でした。

昔の床屋さんは、若者が集まって情報交換するような場所でもあったそうです。

髪を結うこともしないのに床屋にきて、みんなとワイワイガヤガヤとしゃべったり、囲碁や将棋を売ったり、本を読んだりしていたそうです。

この話は、床屋に集まて来た男性たちが字が読めないのに本を読めるふりをしたり、適当な将棋を指したり、女にモテて仕方ないと自慢したり、騒がしい風景を描いた作品です。

本が読めなくて揶揄われるやり取りのところは、江戸っ子気質の見栄っ張りな男の感情がなんとも言えません。

現代も男は、見えや世間体で生きているところが、昔と変わらないのは滑稽な感じです。

柳家小八さん 「千早ふる」

続いては、柳家小八さん。2017年に真打になったばかり。

今回は、柳亭こみちさんが急遽出演できなくなっての代演です。

大学では物理学を専攻していたそうで、落語の世界に入ってから師匠に専攻した学問を生かすようにと言われたエピソードをまくらに、今回は「ちはやふる」を演じました。

こちらも無学な男性が百人一首の「千早ふる神代も聞かずたつた川からくれないに水くぐるとは」とう歌の意味を調べるため、隠居のところにやって来る。

ところが、この隠居も意味を知らない。しかし、いい加減ことを言ってごまかそうとする。

この古典落語をアレンジして、大学で専攻した物理学をフルに活用して現代風に置き換えていました。

ただ、古典落語を忠実に演じるだけじゃなく、自分のオリジナル的な落語にしてしまうのも面白いところです。

とても感心させられて、マクラが十分に生かされた高座でした。

春風亭一之輔 中席主任 居残り佐平治

高座に上がると、本日一番大きな拍手をもらったのではないでしょうか。

相変わらずの人気ぶりだと実感しました。

落語は居残り佐平治。遊郭と言うと吉原が有名ですが、品川にも遊郭があり、そこを舞台に話は進みます。

15分で噺をまとめることが出来ない話なので、主任は30分ほど時間を持っているからこそ高座にかけられる話なんです。

いろいろな方が、高座にかけた「居残り佐平治」を聞きましたが、一之輔さんの佐平治は遊び人の上に人を騙す人物にピッタリな印象でした。

ただ、佐平治が遊郭で居残りしているときのエピソードをもっと演じて欲しかったと思う。

遊郭で居残りとなってから、世渡り上手で若い人の仕事を横から奪って、チップをもらいながら、いつしか太鼓持ちとして氏名まで受けてしまうくだりがあるからこそ、最後にお店の大旦那に嘘を並べて金銭から着物まで巻き上げて、遊び惚けた代金を踏み倒して、堂々と店を後にするところが生きてくる噺だと思います。

今度は独演会などがあれば、ぜひじっくりと演じて欲しい噺です。

末廣亭 まとめ

いかがでしたでしょうか?

末廣亭には年に数回行きますが、毎回楽しませてくれる場所です。

椅子席からでも桟敷席からでものんびりと落語や漫才が聞けます。

もし、新宿へお越しの際は末廣亭にお立ち寄りください。

春風亭小朝・清水ミチコの大演芸会 横須賀芸術劇場 2018年6月

春風亭小朝・清水ミチコの大演芸会 横須賀芸術劇場 2018年6月

都内では気温が30℃に達し、真夏のような土曜日に京急線汐入駅前にある横須賀芸術劇場に行ってきました。

今回の公演は春風亭小朝さんと清水ミチコさんという、ちょっと異色の組み合わせにもみえる二人の演芸会を楽しく鑑賞してきました。

落語とピアノの演芸会

横須賀芸術劇場に入場して驚いたのは、今までホール落語で訪れた、どの会場とも違う雰囲気に圧倒されつつ、最初に登場したのは、春風亭勢朝(しゅんぷうていせいちょう)さん。

開口一番、「小朝と清水ミチコは、すぐ出しません。」の一言で会場を沸かせました。

勢朝さんを見たのは今回がはじめて。

どんな落語を聞かせてくれるのかと少し構えていましたが、軽快な語り口で、会場を埋める客層に合わせながらダジャレやら、ちょっとした楽屋ネタ的な噺で会場を盛り上げました。

勢朝さんは、1979年に5代目春風亭柳朝師匠に入門。

1991年師匠の死去に伴い春風亭小朝一門に移籍された経緯があります。

演目は「大師の杵」。

弘法大師様のお話なんですが、弘法大師が修行中の身である20代の頃の噺。

実は、弘法大師=空海の20代の頃の記録はほとんど残っていないのですが、落語の噺では修行中に出来事として語り継がれている。

いかにも落語らしいサゲで終わるところがいい感じの噺です。

15分程の高座でしたが、なんとなく内容的に、演芸場で聴く落語のようでした。

会場のお客様の反応を見ながら、所々に最近のニュースをネタにしながら飽きさせることなく、小朝師匠に引き継いでいくあたりは、さずがプロですね。

やはり落語家さんの話術は勉強になります。

春風亭小朝師匠 代書屋

春風亭勢朝さんの後に、小朝師匠と清水ミチコさんが登場して、本日のプログラム内容や二人会の経緯など話されるのかと思っていたら、普通に小朝師匠の落語が始まりました。

上方の落語家さんが使われる見台があり、江戸落語でこの見台を使われるのは初めて見ました。

さて、まくらは芸能ニュースから始まり本題の「代書屋」へと移っていきました。

小朝師匠の落語を生で観るのは初めてだったのですが、もう少し毒のある尖った感じの噺になるのかと思っていました。

しかし、聞きやすくとても穏やかな感じの落語でした。

まさか「代書屋」を聞けるとは思わなかった。

上方の桂米團治さんが昭和13年ごろに新作落語として作られたとか。

上方では桂枝雀さんや桂春団治さんなども演じています。

もともとが上方落語だったのと、最近は代書屋さんと言う職業自体見かけることが少なくなったせいもあるのか、あまり聴くこともなくなってきたように思えます。

久しぶりに「代書屋」を聞けてラッキーでした。

小朝師匠 立て続けにもう1本 宗論

1本目の落語が終わったので、一旦高座から下がるのかと思ったら、そのまま次の演目へと進みました。

今までに経験したことのない展開でした。

立て続けに2本の落語を休みなく演じるのかと驚きました。

この宗論ですが、大店の若旦那がキリスト教の集会へ出かけてしまい、仕事を疎かにする様に堪忍袋を切らした旦那さんと、その息子のとの宗論の噺です。

噺の途中で賛美歌を歌いだしたりと、堅苦しくないけれども古典落語という、はじめて落語を聞く方には聞きやすい落語だと思いました。

小朝師匠と清水ミチコさんのトーク

小朝師匠の落語の後は、清水ミチコさんが登場です。

最初は、小朝師匠と清水ミチコさんの、若干噛み合っていないトークに苦笑いしましたが、そこはベテランのお二人。

噛み合わなくても、前に進めちゃうんですね。

舞台慣れというか、テレビの収録ではない、まさに目の前にお客さんがいる状態でも、うまくまとめるところはプロですね。

二人のトークが終わった後は、清水ミチコさんの物まねがスタートです。

清水ミチコの物まねオンパレード

テレビやラジオなど活躍の場が沢山あるなかで、最近ピアノを改めて習いだしたそうです。

クラシックを習っているそうです。常に努力するからこそ、素晴らしい舞台を作ることが出来るんだと感じました。

物まねは定番の「桃井かおりさん」「矢野顕子さん」「全然似てない松たか子さん」。

政治家の物まねが会場を沸かせました。「麻生太郎大臣」は独特の言い回しで会場は大爆笑。

女性がクセの強そうな「麻生太郎大臣」の物まねをするのは難しいと思いますが、特長を捉えながら誇張せずに演じるのはとても良かったです。

そしてピアノ演奏をしながらの歌まね。

「中島みゆきさん」「ユーミン」など定番ネタながら、とても楽しめる物まねでした。

ちなみに、新しい物まねはラジオ番組などで試してみて反応が良いもは、テレビなどで披露するそうです。

いろいろと創意工夫し、常にチャレンジしている姿が素晴らしですね。

まとめ

ちょっと、変わった演芸会でしたが、落語とコラボする楽しい演芸会でした。

落語と言うと古く難しいものと思われる方もいますが、そんなことはありません。

新作落語というのもあり、現代を舞台にした作品もたくさんあります。

ぜひ、落語を聞いてみて下さい。

桂文珍 大東京独演会2018 国立演芸場

2018年4月30日、国立演芸場にて、桂文珍さんの独演会「大東京独演会」へ行ってきました。

いままでも独演会などホール落語には、何度も足を運びましたが、今回の公演はいつもより年齢層が高めのように感じました。

桂文珍師匠は、以前テレビやラジオのレギュラーを何本も持っていたので、特に年配の方で知らない方はいないのではないかと思います。

ここ数年は、後進のために落語を中心に活動されているそうですが、認知度のある落語家さんですから大入り満員でした。

今回、入場時にA4版にの用紙に演目がずらーーーっと書き込まれた用紙を手渡されました。

なんと、リクエストができるようになっており、記載されている演目から3つ選んで投票するシステム。

2018年4月30日のプログラム

  • 投票結果発表
  • 会場から好きな演目をリクエスト
  • 本日のゲスト発表

大雑把にこんな感じで始まりました。

文珍さんが登場しても「ワー、キャー」と言う甲高い声援はありません。

拍手だけでしたが、とても和やか雰囲気で始まりました。

投票結果発表 ベスト3は?

老婆の休日、憧れの養老院、地獄八景亡者戯(もしかすると違うかも)の3つが選ばれました。

新作落語が2つもありました。客席の年齢層が高めだったので古典落語がベスト3を占めると思ったので意外な結果に驚きました。

今回、ベスト3の発表には、文珍さんのお弟子さん「楽珍」さんがお手伝い。

ピンクの着物で小道具を持って登場されました。なんでも弟子入りして37年も経つそうで、あの笑点の司会者「春風亭昇太」さんよりも先輩だとかいうのですが、見た目はもっと上のような・・・。

会場から好きな演目をリクエスト

ベスト3を発表した後は、リクエスト用紙に書かれていた演目から追加リクエストを募りました。

皆さんかなり積極的に挙手しておりました。積極的な方が多いんですね。

リクエストのなかから、なんとお弟子さんの「楽珍」が演じることとなりました。

楽珍さんが演じるのは「手水廻し」。

楽珍さんのエピソード

出身は鹿児島県の徳之島。選挙の投票率が108%と言うほど選挙ではいろいろとあるらしい。

そんな楽珍さんが、文珍師匠のところへ入門にいくと、方言が凄すぎて文珍師匠から「いつ日本に来られたんですか?」と。

かなりの天然ボケもあり、文珍師匠のトークのネタにもなっています。

本日のゲスト発表 今回は浅草で有名な漫才師

独演会は3日間行われました。

初日28日は「宮川大輔・花子さん」、2日目の29日は「中川家さん」、3日目30日は「ナイツさん」

昨年は「桂米丸師匠」をお迎えしたそうですが、今回の公演ゲストは全て漫才にされたそうです。

ゲストの漫才もすべて見たかったほどの顔ぶれです。

やはり大物落語家さんともなるとゲストも、舞台でしっかりと勤められる方ばかりで驚きました。

前説と言うのでしょうか、ここまでが本日の内容説明でした。

ここまで聞いただけで、本日の面白さが伝わってきました。

桂楽珍さん 落語「手水廻し」

ご自身の出身地と入門から現在まで関西で過ごしていることから言葉に関することからスタート。

古典落語の「芝浜」の一部を、「江戸落語」と「上方落語」それぞれの言い回しで演じてみました。

江戸弁で聞きなれていた芝浜を上方言葉で聞くと、また違った噺に聞こえて、それはそれで面白いのではないかと思います。

最後に、楽珍さんの出身地:鹿児島の徳之島の方言で芝浜を演じました。

まったく何を喋っているのかわからない。まるで外国語のようでもあり、なんとなく沖縄の言葉のようにも聞こえました。

話し方や表情豊かに話すので、こんなにも言葉(江戸弁、関西弁、徳之島の方言)で一つで違う内容の噺に聞こえます。

このまくらで観客の心をグッと掴んで、「手水廻し」につなげていきました。

20分ほどの高座でしたが、あっという間に終わってしまい、もっと聞いてみたい気持ちになりました。

自宅に戻って、楽珍さんをネットで検索すると、芸だけじゃなく私生活もびっくりな方のようです。

波乱万丈な人生を送られている感じです。

文珍師匠のトークのネタが尽きないほど、エピソードをお持ちの方です。

ちなみに「松本人志さんのすべらない話」で漫才師:矢野兵藤さんの兵藤さんが、楽珍さんのエピソードを披露しています。

楽珍のえエピソードはこちら(youtubeより)

独演会 桂文珍 2018年国立演芸場

この日の演目は、「老婆の休日」「らくだが来た」「胴乱の幸助」の3本。

上方落語の印象は、先日お亡くなりになられた「月亭可朝さん」をはじめ「月亭八方さん」「桂きん枝さん」「桂文枝さん」など、以前は演芸番組やヤングオーオーというテレビバラエティ番組でお見かけした方しか知らなかったんです。

さらに上方落語はほとんど聴いたことが無かったので、どんな感じなのか興味津々な状態で高座を凝視しておりました。

最初に新作落語の「老婆の休日」となりましたが、文珍師匠は神戸出身と言うことで、やわらかい言葉で語るので、とても耳障りもよく、また噺の内容が身近にあることなので、会場は大爆笑となりました。落語でここまで笑いが起きるのかと驚きもありました。

久しぶりにおなかを抱えるほど笑うことが出来ました。

古典落語の「らくだ」のスピンオフ「らくだが来た(新作落語)」と

古希を迎えられているにも関わらず、高座では年齢を感じさせないテンポのよい語りに、これからさらにいい落語が聞けそうです。

すでに来年(2019年)も4月末の3日間、国立演芸場での公演が決定しています。

江戸落語とはまた違う趣きがあります。ぜひ一度ご覧ください。

上方落語 小道具 見台

上方落語には、江戸落語と違い手拭・扇子のほかに小道具があります。

その小道具の一つが見台と呼ばれるものです。机みたいなものです。

その机の前に衝立のようなものを置きます。

この衝立みたいなものを「膝隠し」と言います。

落語家さんの着物が乱れても見えないように置いてあると聞きました。

着物が乱れるほど、身振り手振りが激しいのでしょうか。

上方の落語家さんのほうが、リアクションが大きいんだと思います。

さらに、小拍子という拍子木の小さいものがあり、ここぞという見せ場で、見台を叩いて場面を盛り上げたりします。

文珍さんは、見台の上や横を「タンタンタン」と叩いて、噺の演出に使われていました。

ちなみに、お弟子さんの楽珍さんは、見台を使わずに落語を演じてました。

まとめ

上方落語をほとんど聞いたことがなかったので、どんなものかと思い今回は出かけて見ました。

江戸落語と違い、身振りや手振りも大きく、趣もことなりますが落語という一人で何役もこなして行う話芸は江戸も上方も同じだと思います。

「江戸落語は聞かせる」感じですが、「上方落語は観せる」と言う感じですかね。

ぜひ、機会があれば上方落語も楽しんでみてはいかがでしょうか。

落語 怪談牡丹灯籠 立川志の輔さん

怪談 牡丹灯籠 三遊亭圓朝さん作の落語。

三遊亭圓朝さんは、江戸時代末期に生まれ、明治33年に亡くなるまで活躍された落語家です。

この作品はあまりにも壮大なドラマであり、登場人物も多く、怪談というよりも人間が持っている強欲さと武士の忠義を描いた作品だと思います。

怪談はこの物語の一部に出てきますが、主人のために忠義を尽くす武士の物語色が強いと感じました。

怪談 牡丹灯籠 壮大な物語

初めて牡丹灯籠を聞いたのは2017年夏でした。

本多劇場にて立川志の輔さんの公演でした。

当時、圓朝さんは1日2時間、15日連続約30時間をかけ、この物語を演じました。

昔は録音・録画する機材なんてものはあるわけないので、速記者に頼んで高座で語ったおの物語を記録してもらったそうです。おかげでいまでも語りつがれています。

現代では30時間も公演できませんので、場面ごとに分けて高座にかけられています。

2018年7月にお亡くなりになられた「桂歌丸さん」が「栗橋宿のくだり」を観たことがありますが、ゾッとする感じで熱演されていたのを記憶してます。

立川志の輔さんの牡丹灯篭は約2時間

本多劇場で立川志の輔さんの牡丹灯籠は2部構成になっていて、前半が物語の解説で後半が落語となっています。

だから初めて牡丹灯籠を観る方も、わかりやすい演出となていました。

ただし、前半の解説で驚いたのは、牡丹灯籠という物語は登場人物がめちゃくちゃ多いので、憶えておくと各場面の情景が浮かんで、より一層楽しめますよ。

牡丹灯籠 登場人物の整理

登場人物が、とにかく多い。落語でこれだけ登場人物が多い作品はあまりしらない。

・飯島平左衛門(家督を継ぐまでは平太郎)

・お露(平左衛門の一人娘。のちに幽霊となって現れます。)

・お國(平左衛門の妾。とんでもない悪女。)

・黒川孝蔵(酒がもとで、身分も嫁も失う。平太郎の家来に絡んで切り殺される。)

・孝助(飯島家に方向に来た忠義な若者。実は黒川孝蔵の息子。)

・萩原新三郎(浪人・・田畑や長屋を所有しており、その収入で生計を立てている。)

・山本志丈(いちおう医者であるが、かなりいい加減な男)

・伴蔵とおみね(新三郎の所有する長屋の住人。夫婦。のちのち欲を出す。)

・源三郎(飯島家の隣家の次男。お國と通じており、やがて一緒に主人である平左衛門を裏切る不届きもの。)

・白翁堂勇斎(新三郎の長屋の住人。稼業は人相見。よく当たる。

・新幡隋院の和尚(勇斎とは知り合いであり予見が当たる。)

・相川新五兵衛(孝助の義理の父親にあたる。)

・お徳(相川新五兵衛の一人娘。やがて孝助と結婚する。)

・相助(飯島家の奉公人。お國や源三郎にいいように使われる。)

・亀蔵と時蔵(孝助を殺そうとした悪い奴ら。)

・おりえ(孝助の実母。孝助が四歳の時に黒川孝蔵と離縁。)

と、このように物語が進むにつれて登場人物がだんだんと増えてきます。

これだけの登場人物がいるので、志の輔さんは名前が書いてあるボードを舞台袖から引っ張り出して、観客に説明してくれました。

牡丹灯籠 あらすじ

若かりしころの平左衛門が江戸は本郷の刀屋(藤新)で刀を観ていた時に、家来の藤助が黒川孝蔵に絡まれ、事の成り行きから平左衛門が孝蔵を切り殺してしまった。

お咎めはなく、その後、家督を継ぎ結婚もして一人娘を授かるも、奥様はなくなってしまう。奥様のお付きをしていたお國を妾としたが、ここからが間違いの始まり。

妾のお國と一人娘のお露の仲が悪く、お國は平左衛門へなんだかんだと言って、柳島に別宅を購入しお露を住まわせた。

そこへ、飯島家に出入りしていた山本志丈が萩原新三郎を伴って、梅を見に出かけて帰りに、柳島の別宅へ立ち寄った。

そこで、お露と新三郎は恋仲となるも、草食系の新三郎は一人でお露に逢いに行くことができない。

もっとガツガツしていれば本当に夫婦になれたかもしれないのにもったいない。

お露もまだかまだかと、新三郎がやってくるのを待ち焦がれていたが、恋煩いが重症となり亡くなってしまう。後を追うようにお付きのお米もなくなってします。

二人は新幡隋院に葬られるも、新三郎との恋を成就したいお露は幽霊となって、毎晩新三郎の元を訪れるようになった。

毎夜、お米が牡丹の燈篭を持ち、駒下駄のカランコロンという音とともにやってくるんです。

夜よなかに新三郎のところに誰かがやって来ては、話し声が聞こえるのを不思議に思った、長屋の住人の伴蔵は、こっそりと覗いてしまった。

まさか!幽霊と会話している新三郎

伴蔵は、新三郎が幽霊と話しているところを覗き見し、翌朝まだ日が昇る前に人相身の白翁堂勇斎の元に行き、昨夜のことをすべて話した。

勇斎は、さっそく新三郎の元を訪れ、訪ねてくる娘が幽霊であることと、新三郎に死相が出ていることを告げる。

新三郎はお露が本当に死んでしまったことを確かめつために、お露が住んでいた別宅へ向かい真実をしる。

勇斎に薦められて、新幡隋院の和尚に相談すると、お札と如来像をもらった。

新三郎は、お札を家の入口すべてに貼り、如来像は首から下げて家に引きこもった。

効果は抜群で、毎夜毎夜カランコロンと駒下駄の音とともに、お露とお米が現れるが、新三郎に家に入れない。

伴蔵がお露のアシスト!ついに新三郎の元に侵入成功

伴蔵は、毎夜訪れるお露とお米から、新三郎の家に入れるように懇願される。ところが、おみねは伴蔵が浮気していると勘繰り事情を聴くが信用しない。

当たり前ですよね、幽霊と会話していると言っても誰も信用しません。

伴蔵はおみねに幽霊を覗き見させて、信じてもらうと悪だくみを思いつく。

幽霊にお金を持ってくれば、お札を剥がしてあげる。

この話に、二人の幽霊は承諾して、実家からお金を持ち出し、これを伴蔵に渡す。

そして、新三郎の首に掛かっている如来像をとれば、幽霊との約束が果たせたうえに、高価な如来像を手にいてられると嘘を言って新三郎から如来像を捕ることに成功!

これで、幽霊の二人は願いが叶い新三郎に逢うことができ、新三郎はなくなってしまう。

孝助が邪魔なお國と源三郎!不倫のなれの果てに

孝助が飯島家に方向に来た理由が、父親である黒川孝蔵の仇を打つため、剣術を学びたいという理由。

飯島平左衛門は剣術の達人であり、孝助にとってはなげったり叶ったりの奉公先。

孝助は主人の平左衛門に尽くし、やがて可愛がられる存在になる。

そして孝助が剣術を学びたいと懇願され、その理由をしると、その仇が自分であることを悟る。

それでも、孝助をかわいがるも、妾のお國にとっては邪魔な存在でしかない。

隣家の次男坊、源三郎といい中で、平左衛門が仕事で不在の時は、こっそりと源三郎とやることをやっている。

さらに平左衛門を殺してしまおうと計画を立てたが、孝助に聞かれてしまう。

なんとかして孝助を陥れようと、あの手この手を使うも、平左衛門は薄々気づいていた。

そんな、ある夜に孝助は主人の平左衛門のために、お國と源三郎を殺して自分も自害しようと決める。

実行に移したものの、誤って主人をやりで突いてしまう。

すでに覚悟を決めていた平左衛門は、孝助を逃がし手負いの状態のところへ源三郎が現れる。

源三郎はとどめを刺すも、足を怪我してしまう。

飯島家にある金品を持って、お國と逃亡を企てる。

主人の仇を打つ!孝助が旅たつ

飯島家から婿養子へいく予定の相川家に行き事情を話した。

相川新五兵衛はとにかく、飯島家戻ろうとする孝助をなだめた。

なんとか気持ちを落ち着かせた孝助は仇討に旅起つと言い出したので、そのまえに娘と結婚をしてほしいと頼み、孝助は結婚した。

孝助は、お國の出身地の北陸まで足を延ばすも、一向に足取りは掴めない。やがて一年を迎えるころに一旦江戸にもどる。

江戸にもどった理由は、平左衛門の一周忌を行うためだった。

栗橋宿で思いもよらない展開に発展

新三郎の長屋の住人だった伴蔵とおみねは、伴蔵の出身地栗橋で幽霊からもらったお金で商売を始める。

意外と評判になり、商売は順調にいく。

ところがここから意外な人物たちが出てくる。

商売を成功させた伴蔵は、そのうちとある店で働いている女中に入れあげる。

これが、女房のおみねにばれて、夫婦喧嘩となる。おみねは、いますぐ家を出るからお金をよこせと要求する。

伴蔵は仲直りを装い、二人で食事に出かけるが、帰り道でおみねを殺害してしまう。

ひどい男ですね。ところがですよ、女房が殺された哀れな亭主を演じていたのもつかの間、店で働く女中のおみねが高熱でうなされる。

奇妙なことに、自分たちのいままでの悪事をペラペラとしゃべりだした。

内心ではヒヤヒヤしていた伴蔵でしたが、栗橋宿に江戸から医者が来ている聞き付けた。

いざ、医者がやって来て驚いた。あの山本志丈じゃないか!

悪事をしゃべる女中をみて、山本志丈は気が付いた。

一周忌供養のあと、孝助は実母に出会う

一旦江戸に戻った孝助は一周忌法要を済ませた。一年も仇討の旅を続けているうちに、家で待っていたお徳はお子供出産。

旅起つ前に、やることは済ませていたが、まさか子どおができているとは思っていなかった孝助は驚いた。

さらに、驚くことが起こる。一周忌法要後に和尚から、神田に引っ越したあの白翁堂勇斎のところに行くように勧められる。

勇斎のところに行き、自身の望みは叶うかと尋ねると、危ういことがあるが望みは叶うと告げられた。

さらに会いたい人がいるが、たぶんかなわないだろう、でも生死はどうかと尋ねた。

するともう会っていると言われた。実はこの時、四十過ぎの女が勇斎のところを訪れていた。

この女こそ、孝助の実母であった。

驚きはこれだけじゃなかった!実母の嫁ぎ先の娘がお國だった

実母は再婚していた。その嫁ぎ先の娘がお國だった。

伴蔵といい中になったが、これは伴蔵からお金をせしめるための作戦だったが、うまくいかず宇都宮の親せきを頼ることになった。

その宇都宮が孝助の実母が住んでいるところだった。

事情を聴いた実母のおりえは、孝助に仇を打たせてあげると約束をする。

江戸に遊びに来ていた実母のおりえは、急遽宇都宮へ帰ることになる。

ここまでくると、話は大詰めですが、かなり急展開な場面が多くなります。

宇都宮に着くと、孝助は旅籠(いまでいうホテル)にとまり、実母と打ち合わせたとおりに仇討の準備をして、予定の時間まで待っていた。

ところがところが、ここで実母のおりえが裏切るんですよ。

お國は幼少時から、ずる賢く男を手玉に取る性格で厄介者ではあったため早くから方向に出されていた。

そんなお國でも、おりえの嫁ぎ先でもあり恩義を感じて、匿っていたお國と源三郎を逃がしてしまう。

それを知らない孝助は、時間通りに敵討ちにやってきたが、すでに逃げていた。

事情を聴いたら、おりえが逃がしたことがわかった。おりえは自害をして孝助に詫びるとともに、逃走経路を伝える。

必死に逃走経路をたどっていくと、お國と源三郎のほかに、亀蔵と時蔵が奉公人を首になって江戸から、この地にやって来て山賊まがいの追いはぎをしていた。

お國と源三郎は亀蔵と時蔵を言いくるめ、孝助が来たら殺してしまえと命令。

しばらくすると、孝助がやって来て、亀蔵と時蔵の襲撃を受けるも、何とか交わし二人を成敗。

そしてお國と源三郎もついに捉えて首をはねて、無事に主人の仇を討った。

牡丹灯籠 まとめ

牡丹灯籠は怪談噺だと思っていたが、こんなにも壮大な噺だと思わなかった。

これだけ壮大な噺を、約2時間で演じる立川志の輔んさんが凄いと実感しました。

ただ、これだけすごいと、あと数回見ておいたほうがいいかもしれないです。

ブログには書きましたが、ところどころ間違っていたり記憶違いがあるかもしれません。

だから、来年もみておこう!

追記

2018年の公演は8/2日から12日まで下北沢の本多劇場で行われます。

既にチケットは完売のようです。

 

夏の夜に文庫本で牡丹灯篭を堪能してみませんか?

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寄席に行ってみました!浅草演芸ホール

浅草寺のそばにある浅草演芸場へ行ってきました。

やはり生で観る落語はいいですね!

夏休みということと、浅草という観光地が集客にはうってつけの場所です。

開演の20分前に到着しましたが、すでにチケット売り場には10数人以上が並んでしました。

係りの人が入場口前にいたので、今日の入りの様子をうかがうと、「既に満席に近い状態ですから、お早めにお入りください」とのこと。

さっそく、チケットを購入して入場。

8月中旬は特別興業として昼の部の最後に「住吉踊り」があるということで、大いに盛り上がりました。

つくばエクスプレス、銀座線、都営浅草線、東武スカイツリー線の各浅草駅から徒歩で行けます。

一番近いのがつくばエクスプレスになります。

ちなみに、JR総武線の浅草橋駅は浅草からかなり離れていますので、都営浅草線に乗り換えて浅草へ。

浅草演芸場の歴史

浅草演芸ホールは、昭和39年に東洋劇場の建物を増築、4階と5階に落語定席浅草演芸ホールとしてスタート。

昭和46年に、現在の1階にホールが移りました。

もともと、ここにはストリップ劇場がありました。

浅草演芸ホールがある建物は東洋興業が東洋劇場として演劇も上演する目的もありました。

いまでは、ストリップ劇場もなくなり、建物の上部を改装して漫才などを中心とした演芸場「東洋館」として連日賑わっています。

浅草演芸ホール 木戸銭(入場料)

浅草演芸ホールの木戸銭(入場料)は大人が2,800円、学生が2,300円、小人(4歳以上)が1,500円です。

夜割もあります。

18時から大人が2,300円、学生が1,800円、小人(4歳以上)が1,500円。

19時から大人が1,800円、学生が1,500円、小人(4歳以上)が1,500円。

特別興業は別料金となります。

大人が3,000円、学生が2,500円、小人(4歳以上)が1,500円です。

年末年始もこの料金となります。

浅草演芸ホールの客席数

浅草演芸ホールは1階席と2階席があります。

客席数は1階が239席、2階が101席の計340席。都内にある寄席の中では最大です。

座席はイス席です。長時間座っていると、お尻が痛くなります。

開演時間

昼の部は午前中11:40から16:30、夜の部は16:40から21:00まで。

昼の部よ夜の部の入れ替えはありませんので、11:40から21:00まで落語を楽しむことができます。

今回は昼の部が10:30から開園される特別興業を観ましたが、16:30まで落語や漫才や音曲漫談などを楽しみました。

時間が過ぎるのは早く、大いに楽しみましたが、演芸ホールを出たときは、少し頭がボーっとしました。

6時間もホールにいるとさすがに疲れました。3時間くらいがいいのかなとも感じました。

トイレ・売店・喫煙所

トイレは地下に男性・女性用がありました。また女性用は1階にもあります。

トイレ内は清潔で、地下の男性トイレには男性用の便器が4つあったので、混雑していても割と回転が良かったです。

売店は入口の右手にあります。

サンドウィッチやいなり寿司とのり巻き助六っていうお弁当もありました。飲み物はビールもありましたが、今回は控えました。

お茶や水、お菓子類も販売しています。

ちなみに、演芸ホールの側にお弁当屋さんがあり250円のお弁当を販売していたので、演芸ホールに入る前に購入するのもいいかもしれません。

喫煙所は、ホール内にありません。入口手前のの右手に喫煙所があります。

もし、入場後にタバコが吸いたくなったなら、係員に声を掛ければ、いったんホールを出てタバコが吸えます。

再入場ができないので、必ず係りの方に声をかけて下さい。

まとめ

今回は8月中席の特別興業を観に行きましたので、開演時にはほぼ満席でした。12時ごろには多くの立ち見客であふれていました。

浅草という観光地という条件もあると思いますが、係りの方と少し話をしましたが、特別興業や有名な落語家さんが出演するときや、土曜日曜日は混雑するようです。

また、昼の部と夜の部の入れ替えがないため、お目当ての方が夜の部に出るときは、早めに入場して席を確保することも念頭においておいたほうがいいでしょう。

ホールの前には係りの方が数名いるのでわからないことは聞いてきてください。丁寧に答えてくれます。

寄席は落語だけじゃなく漫才、音曲、講談、手品や紙切り芸など演芸を楽しめる場所です。

女性客も多くいますので、難しく考えず気軽にお越しください。

寄席は楽しく過ごせる場所ですよ。

浅草演芸ホールの公式HPはこちら

youtubeチャンネルもあります。

youtubeチャンネル「浅草演芸ホール」はこちらです。

初めてでも安心!寄席にいくなら新宿末廣亭

落語を1年365日、毎日見られるのが寄席です。今回は新宿3丁目にある末廣亭に行ってきました。

末廣亭を選んだ理由は、平日会社の帰りに寄れる立地と地下鉄から降りて、徒歩3分程度と近いから。

新宿末廣亭を選んだ一番の理由が、初めての方でも気軽に行けるからです。

今日は、そんな末廣亭に立ち寄って落語を鑑賞した感想を伝えます。

初めてでも安心して落語が観られる場所

今回紹介するのは、新宿三丁目にある新宿末廣亭です。

都営地下鉄・東京メトロ「新宿三丁目」が最寄り駅となります。

演芸場に一番近い出口はC3もしくはC4を利用するといいでしょう。

上演日時と時間

上演は365日毎日落語が楽しめます。

一ヶ月の公演は十日ごとに出演者が入れ替わります。

毎月一日から十日までを上席(かみせき)、十一日から二十日までを中席(なかせき)、二十一日から三十日までを下席(しもせき)と言います。

さらに、昼の部と夜の部に分かれています。

昼の部は12時から16時30分まで、夜の部は17時から21時までとなっています。

三十一日は特別興業となります。

また落語だけではなく、色物と言われている漫才、太神楽、マジック、紙切り芸なども見ることができます。

一組の出演者の持ち時間はおおよそ15分程度で、トリを務める演者は20分から30分ほどとなります。

昼の部は18組くらい、夜の部は16組程度出演します。

寄席の入場料はいくらなのか

寄席の入場料は三千円です。

寄席では入場料の事を木戸銭(きどせん)と言います。

木戸銭を払い、入口(木戸口)へ行くと係りの方からプログラムを手渡されます。

仕事帰りに寄席にいったので、途中入場となり木戸銭は2,500円でした。

ドアは木製の扉で、まさに木戸を通るところから木戸銭という由来を体験できます。

プログラムを開くと出演者の一覧になっています。

寄席に入場!どんな雰囲気なのか

中に入ると、昭和よりももっと昔の大正とか明治時代にタイムスリップしたような雰囲気です。

新宿三丁目という場所がら、末廣亭の周りは飲食街となっていて、夜になると多くのサラリーマンで賑わう場所です。

とても、ここで寄席があるなんて思えないような場所です。

ところが、一歩足を踏み入れると別世界です。

外の世界と寄席の世界がたった1枚の木戸で区切られているような異空間です。

でも、その異空間が何とも言えない心地よさがあり、高座では羽織を着た落語家さんたちが、座布団に座って噺をしている。

寄席に入る前までは、中の様子がとても気になりました。

落語を知らない人は入場しても大丈夫だろうか?

落語の話が分からないかもしれないけど楽しめるだろうか?

寄席には女性は入場しにくいのだろうか?

などなど、考えながら入場しました。

中は映画館のように暗くないので、すべてが見渡せました。

ちょうど漫才をやっていたため、係りの方から

「この演者さんが終了してから、空いてる席にお座りください」と案内があり、一番後方で漫才が終わるのを待ちました。

待つこと数分で漫才は終了し、空いてる席に座りました。

座席は椅子席と両端に畳(桟敷)の席がありました。

どちらも、それほど混んでいませんでした。

平日ということもあり、五割程度の入場者数でした。

その後、落語を二組見た後、中入りとなりました。

心配していたことは、何一つなくクスクス笑え、とても心地が良い場所です。

トイレは左手の前方に、売店は入り口の右わきにあります。

売店では飲み物やお菓子、扇子や手拭いなど販売しています。

寄席での注意事項

末廣亭ではお酒の持ち込みは禁止です。

落語を見に来たので、お酒は閉演後にお願いします。

プログラムにある演者が、急遽出演できなくなることもあります。

当日、プログラムには「柳家小満ん」師匠の名前がありましたが、都合により代役の「金原亭伯楽」師匠が出演されました。

まれに、このように出演できなくなってしまうことがあるようです。

伯楽師匠は「たがや」の噺でしたが、夏の時季にちょうどいい噺で楽しめました。

どうしても途中でトイレに行きたくなったら、話が終わってから席を立ちましょう。

演じているときに席を立つのは失礼です。

寄席の楽しみ方

中入り後は、落語と太神楽と紙切り芸がありました。

寄席は、落語だけじゃありません。色物と呼ばれる方々が出演します。

テレビでもYOU TUBEでもあまり観ることができないような芸人さんばかりです。

でも、舞台に上がるために磨き上げた芸を、目の前で観ることができます。

こんな体験は日常では味わえません。

これも寄席の素晴らしさです。

とくに紙切り芸の「林家正楽」師匠が凄かった。

紙切り芸は、ハサミで紙を切って表現しますが、客席からお題をもらって即興でハサミで切ります。

当日、「高校野球」という旬なお題が出ましたが、三味線も高校野球のテーマ曲を奏でていました。

お題は何が出るかかりませんが、そのお題に合わせるプロの技を堪能できました。

そしてトリは「古今亭菊之丞」師匠の登場です。

女性の役がとても上手でとても艶やかな仕草をされます。

今回「船徳」という落語でしたが、船宿の女将さんの下りは、演じ方がうめ~な~と唸ってしまいました。

古典落語を知らなくても、落語を楽しむことができるのが寄席です。

有名な落語家さんなら、YOUTUBEで観ることはできます。

最近はオンライン配信している落語家さんも多くいます。

これも結構いいですよ。最初はちょっと違和感を感じました。

普段は寄席で見ている落語ですが、オンライン配信も気軽に落語を楽しめますよ。

寄席とYoutubeの落語の違い

Youtubeは、気に入った落語家さんの落語をいつでも観ることができます。

いつでもどこでもYoutubeが観られる環境ならいつでも観られます。

でも、寄席と違うところが一つあります。

寄席に出演する落語家さんは、高座に上がるまでに今日演じる落語を決めます。

寄席のお客さんの雰囲気などを感じ取りながら、また自分が高座に上がる前に誰がどんな噺をしたのかチェックして決めるんです。

場合によっては、マクラの途中で噺を変えたりします。

寄席は、客席に向かってその時の雰囲気で噺をしているんです。

夏に冬の噺をしたり、冬に夏の噺をしたりしないように、寄席に足を運んでくれた人を楽しませるために噺をします。

Youtubeは、観ている人の雰囲気は感じ取ることができません。

だから、味気ないところも出てきてしまうのです。

最初はYoutubeでもいいですが、ぜひ寄席に足を運んでみて下さい。

その日しか味わえない落語が観られますよ。

落語の噺を予習したい方は、こちらの本を参考にしてみるといいかもしれません。代表的な古典落語が載っていますよ。

 

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末廣亭の余一会

月末が31日まである月は、31日のみの特別興行がございます。

昼の部・夜の部入替で行われます。それが「余一会」です。

昼の部は12時ごろから、夜の部は5時ごろから始まります。

入場料はどちらも大人3,500円・学生3,000円・小中学生2,500円となっています。

特別興行は、ホール落語のような豪華な顔ぶれとなり、人気のプログラムです。通常の興業とは異なり前売り券の発売がある場合もあります。人気の落語家さんが出演となると開演前から行列ができることもあります。

少し早めに行くといいかもしれません。