落語を観るなら東京都内に4か所ある寄席で観ることができます。
多くの落語家さんが365日4か所の寄席に出ています。
でも、すべての落語家さんが寄席に出演できるわけではないのをご存じでしたか。
新宿の末広亭、池袋の池袋演芸場、浅草の浅草演芸ホール、上野の鈴本演芸場の寄席に出演できるのは、落語家さんや講談師さんが組織している落語協会もしくは落語芸術協会に所属していないとだめなんです。
なぜそのようなったのかは大人の事情ということとして、落語界の組織についてお話します。
目次
落語協会と落語芸術協会って何が違うの?
何が違うって言われると、それこそ大人の事情なんでしょう。
落語を観たい人にはあまり関係ないと思います。
落語家さんが所属している組織がいくつもあると思ってください。
いわゆる芸能事務所とはまた別の組織ということです。
ここでは、それぞれの協会の特徴などを紹介していきます。
落語協会は、古典落語に重きをおき継承・研究を、落語芸術協会は、新作落語に重きをおきメディアへも積極的に出演し活動の範囲を広げていました。
ちなみに笑点のメンバーで、落語協会に所属しているの、林家木久扇さん、林家三平さん、林家たい平さん。
落語芸術協会に所属しているのは、三遊亭小遊三さん(副会長)、司会の春風亭昇太(会長)さん。歌丸師匠亡き後、小遊三さんが会長職を代行していましたが、2019年からは昇太さんが会長となります。
桂歌丸師匠は2004年からお亡くなりになるまで落語芸術協会会長を務めておりました。
ここに名前が出てこなかった三遊亭円楽さんと三遊亭好楽さんは、別の団体に所属しています。
落語家さんの組織は5つある?
落語家さんの組織は落語協会と落語芸術協会のほかにあと2つあります。
全部で4つ団体に分かれて活動しています。
決して他団体と仲が悪いということはありません。
・落語芸術協会
・落語協会
・立川流
・円楽一門会
・上方落語協会
寄席に出演できない立川流や円楽一門会はホール落語をメインに活動しています。
ホール落語は、組織に関係なく、落語家さん同士で公演活動を行っています。
落語協会
落語協会は、落語家さんや講談師さんが所属する一般社団法人です。
大正12年(1923年)9月に起きた、関東大震災により東京は壊滅的な状況となった。
それまでは「睦会」やその他の諸派が存在していたが、組織として体をなしえなくなり、東京の落語界が一致団結し、落語協会を設立がはじまり。
いくつもの分裂騒動などを経て今日も活動されています。
こちらは落語協会のHPです。いきなり会長の画像が出てきますが驚かないでください。
スケジュール
現在4つの定席で落語を観ることができます。
奇数月上席(かみせき)1日-10日 – 上野 浅草
奇数月中席(なかせき)11日-20日 – 上野 新宿 池袋
奇数月下席(しもせき)21日-30日 – 上野 浅草 池袋
偶数月上席(かみせき)1日-10日 – 上野 新宿 池袋
偶数月中席(なかせき)11日-20日 – 上野 浅草
偶数月下席(しもせき)21日-30日 – 上野 新宿 池袋
毎日どこかしらの演芸場に協会の落語家さんが出ています。
落語協会所属の落語家さんの人数
落語協会に所属している落語家さんの人数を調べてみました。
・真打 199人(2017年6月1日時点)
・二つ目 64人
他に前座の方が数十名います。落語界の最大派閥と言えます。
落語協会に所属する柳家小三治師匠は落語界で存命しているただ一人に人間国宝です。
落語芸術協会
古典落語の落語協会、新作落語の芸術協会と言われますが、現在は古典・新作の垣根はほとんどありません。
芸協(落語芸術協会)の設立は1930年、法人格は1977年(昭和51年)。
会長は笑点で司会を務められていた「桂 歌丸師匠」、副会長は三遊亭小遊三師匠。
落語協会よりも勢力は弱く、1984年には上野の鈴本演芸場と絶縁したため、落語芸術協会所属の落語家さんは鈴本の高座に上がれないという事情があります。
こちらは落語芸術協会のHPです。見やすいホームページです。
スケジュール
奇数月上席(かみせき)1日-10日 – 新宿・池袋・上野広小路亭
奇数月中席(なかせき)11日-20日 – 浅草・上野広小路亭(15日まで)※二の席
奇数月下席(しもせき)21日-30日 – 新宿 ※新宿のみの興行となる
偶数月上席(かみせき)1日-10日 – 浅草・上野広小路亭
偶数月中席(なかせき)11日-20日 – 新宿・池袋・上野広小路亭(15日まで)
偶数月下席(しもせき)21日-30日 – 浅草 ※浅草のみの興行となる
他に、上席・中席には国立演芸場の定席もあります。浅草・池袋は5日制興行となっています。
落語芸術協会所属の落語家さんの人数
落語芸術協会に所属している落語家さんの人数を調べてみました。
・真打 99人(2017年6月1日)
・二つ目 42人
・前座 25人
所属している落語家さんは落語協会の約半数です。
まとめ
どちらも落語家さんが所属している組織です。それぞれに考え方があるのでしょうが、見る側からしたら、所属している組織は関係なく、楽しい高座を観ることができればいいと思います。
最近、組織や流派を超えて落語に関する様々なイベントを開催する落語家さんが増えてきています。
東京では4つの大きな寄席以外に、毎週末と言っていいほどホールなどで落語を観ることができます。
ぜひ、落語を観に出かけてみて下さい。
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