特選落語会 古今亭菊之丞 文七元結

2018年12月15日、一ツ橋ホールにて落語特選会に出かけてきました。

出演は、三遊亭兼好さん、桃月庵白酒さん、そして古今亭菊之丞さん。

今回もっとも印象深かった落語家さんは、古今亭菊之丞でした。

今回の演目は落語と言うより、独り舞台を見ているようでした。

落語と言うよりも、物語の風景が見えてきて、舞台のようで、落語って笑わせるだけじゃなく、魅せるということもあるのかと感じました。

今回、古今亭菊之丞さんは「文七元結」という噺。

古典落語 文七元結 あらすじ

文七元結のあらすじを簡単に紹介しておきます。

腕のいい左官職人の長兵衛さん。

しかし、仕事もしないで博打に明け暮れ、借金は膨らんで家計は火の車。

五十両の借金を、娘が吉原に身売りしてまで肩代わり。

娘を預かっている吉原の佐野槌から使いの者が着て長兵衛さんが訪ねてみると、初めて娘が身売りしたことを知る。

女将は五十両を長兵衛に手渡し、来年の年末までに五十両を返済すれば、娘は返す。一日たりとも遅れたら、鬼になって娘に客を取らせる。

それまでは、自分ももとで身の回りの世話をさせておくと約束。

長兵衛は五十両を懐に家路に向かうが、その途中で通りかかった吾妻橋で身投げをしようとしている若い男の文七と出くわす。

見て見ぬ振りができない長兵衛さんは、文七を説得して身投げの理由を聞いてみると、集金したお金をすられた様で、このままお店に戻れない。

そこで長兵衛さんは、文七に自分が持っていた五十両のいきさつを話して、文七にあげてしまうんです。

すっからかんになった長兵衛さんは、家に戻ると奥さんと大喧嘩!

一方、文七はお店に戻り、五十両を主人に渡すも、主人から「この五十両はどうした」と聞かれる。

文七は、買掛を回収してきたと説明するも、実は文七、回収先で大好きな碁の相手をしているうちに夢中になってしまい、回収した代金を忘れて帰って来ていた途中で、懐に代金がないことに気が付きすられたと思い身投げを決心。

碁の相手先は、忘れていった五十両を届けてくれた。だから文七が五十両を持って帰ってきたので、どうしたのかと聞いてみた。

吾妻橋での一件を説明したが、五十両をくれた男性がどこの誰だかわからない。ただし、五十両をもっていたいきさつを覚えていたため、それをヒントに主人と文七で長兵衛さん探しを始める。

ちなみに番頭さんは佐野槌に向かって、娘を見受けし長兵衛さん宅へ向かう。

先に向かっていた主人と文七は、五十両の礼をいい、返そうとするもいったん出した金は受け取れないと意地を張る。

そこへ娘を連れた駕籠が到着し親子で対面し一件落着。

主人は、やがて文七と娘に所帯を持たせ、
二人して麹町貝坂に元結屋の店を開いたという、「文七元結」由来の一席。

落語はかたるだけではなく魅せるもの

古今亭菊之丞さんの落語は、寄席などで何度か見ているが、いつも思うのが魅せる落語家の一人であるという事。

落語は登場人物一人一人が語りの中から想像でき、舞台を観ている様に語る話芸だと思います。

今回の話も、古典落語であり、いままで多くの落語家さんが寄席やホール落語で演じてきている演目の一つです。

登場人物や場面の多さに、演じる落語家の技量が問われる作品です。

吉原の女将や大店の主人と番頭、そして長屋の貧乏な夫婦。登場人物以上に場面場面を切り替えて、あたかも舞台で演じている等に魅せる技術に落語のすばらしさを感じます。

まさに落語は魅せるもんだと実感した高座でした。

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