目次
末広亭 10月下席 千秋楽 文蔵師匠の芝浜
新宿三丁目にある寄席「末広亭」に行ってきました。
会社が終わって、残務処理を片付けて急いで新宿三丁目に向かいました。
10月下席千秋楽、主任は橘家文蔵師匠。到着したのは19時を5分ほど回ったタイミング。
木戸銭を払って入場すると、いままで新宿に居たことを忘れてしまう落語の世界が広がります。
ちょうど、小満ん師匠の高座の途中だったので、入り口からすぐの立見席で噺を聞きながら待機。
平日の夜だからそれほど混んでいないだろうと予想していたが、見事に外れました。
ほとんど席は埋っていて、座敷席には外国人の姿もありました。
まさか、今日は座れないのか!という不安とともに小満ん師匠の高座が終わり中入りになりました。
ここで、席を立って帰る方が数名。
座席確保のチャンスを逃さず、そそくさと席を確保し、とりあえず腹ごしらえ。
と言ってもコンビニのおにぎりとパンを食べて落語を楽しむ体制は完璧!
美味しそうな名前 柳家天どん
はじめてこの方の高座を拝見しました。名前は美味しそうなんですがおじさんです。
新作落語って言うんでしょうか、病人とそこへやってきた訪問販売員とのやりとり。
寄席でしか聞くことができない噺でした。
春風亭百栄さん、一番汚いモモエさんだそうです。
こちらも新作落語でしたが、間抜けな誘拐犯と誘拐された娘と父との微妙な関係が、今の家庭でもあるかもしれないと思わせる、大笑いもありながら、
ちょっと切ない父と娘、夫婦の関係が楽しくまとめられていました。
こういう話は寄席でしか聞けないし、寄席だから、その日によって噺をアレンジしてくる面白さがあります。
入船亭扇辰師匠 話芸だけじゃない仕草も完璧な芸です。
小柄な体型ですが、声の張りと扇子や手ぬぐいを使った様々な仕草が、さらに落語を面白くさせる要素だと改めて感じました。
噺は「権兵衛狸」。三遊亭金馬師匠や立川談志師匠も高座で演じていたという話です。
髪結床のご主人の権兵衛さんと狸のやりとりを描いた作品です。
髪結床は、いまの床屋さんのことで、昔は髪結床に集まってお喋りしたり情報交換したりした場所なんです。
そんな床屋のご主人と、ご主人にイタズラしようとした狸の噺です。
イタズラがばれて、ご主人に捕まってしまった狸に罰として、頭部の髪の毛をカットするシーンがあるのですが、髪を切る仕草と本当に鋏で切っているような音を出すんです。
それだけでも、この噺を聞けてよかったと思える芸です。
ぜひ、入船亭扇辰師匠の落語も聞いてみてください。
主任は橘家文蔵師匠 暮れに持ってこいの噺 芝浜
文蔵師匠が登場すると、場内から拍手と「待ってましたー」と声がかかる。
今夜のお客さんは文蔵師匠がお目当てなのかと思えるくらい盛り上がり。
男前とは言えないけど、貫禄のある顔つき。
高座にあがって一礼した後、自分の前に高座を務めた、ジャグリングを見せてくれたストレート松浦さんを褒め、
そして春風亭一朝師匠のお弟子さんが、明日から二つ目になるということで、高座に呼んで挨拶をさせていました。
文蔵師匠は「明日からなんて名前だい?」と、その前座さんに聞くと、小さい声で名前を言ってお辞儀。
ところが文蔵師匠は、「聞こえないよ」という素振りで三度も名前を言わせる。
これは、今日寄せに来たお客さんへ、名前を思えてもらおうとした師匠の暖かい心遣いだと思った。
さすがですね。寄席で主任を勤められる落語家さんは落語界の事を思ってるからこそ、次代の落語家さんにも目をかける。
さて、今日はどんな噺が聞けるのかとワクワクしていたら、なんと芝浜!
TBSの落語研究会では、暮れになると誰かが高座で演じる芝浜
今日、生で芝浜が聞けると思うと大興奮!
でも、文蔵師匠は結構いかつい顔、いや貫禄のある顔つき。
おかみさんをどうやって演じるのか?
こちらの期待を裏切るほどの、おかみさんぶりに驚きました。
魚屋の主人を演じるよりも、おかみさんを演じるほうが自然な感じでした。
また情景が浮かんでくる話芸にも、ワクワクしながら最後まで聞くことができました。
やっぱり「寄席はサイコー!末広亭バンザイ!」
コメント