三越劇場にて2018年8月30日18:00より、劇団「ペテカン」主催のジャンルを超えた多彩な舞台を見てきました。
主催したペテカンと柳家喬太郎師匠と東京03が舞台で落語とコントを繰り広げました。
ペテカンは、「More stage like to movie 映画のような演劇を。」を揚げて、リアルな演出と気楽に楽しんでもらえる舞台を目指して活動している演劇集団。
柳家喬太郎は、1989年に柳家さん喬師匠に入門し古典落語から新作落語まで幅広く演じる落語家です。
2016年に映画「スプリング、ハズ、カム」で初主演。映画でも非凡な才能を発揮。
東京03は、豊本明長と飯塚悟志のコンビ「アルファルファ」に角田晃広が加入して、2003年に結成。
日常の出来事を描くコントでコアなファンが多数。
普段は一緒に同じ舞台で共演することがない3組がコラボした舞台を観て感じたことがあります。
演劇・コント・落語も創作が生み出したもので、笑いも涙も感動もいろいろなものが織り交ぜられた作品だと思います。
落語には古典落語と新作落語がり、演劇には喜劇やミュージカルなど多くのジャンルがあり、古くから上演され続けている作品も多い。
コントには笑いだけじゃなく風刺という面もあり、日常の些細なこともコントのネタになるほど生活に近い部分がある。
3つとも別々のジャンルではあるが、何かをヒントに創作された作品を、それぞれのフィールドで演じている。
そんな別々のジャンルで活躍する3組が、同じ舞台で共演したが、違和感なくそれぞれを楽しむことができた。
目次
開口一番 前座 皿屋敷 怪談噺?
開口一番(この日一番最初に噺をするもの)として前座さんが高座に上がると紹介されて緞帳が上がる。
出囃子とともに出てきたのは柳家喬太郎さん。
会場は爆笑に包まれながら、落語が始まる。
はじめは、古典落語の「皿屋敷」。
本日のメンバーをみると、なんとなく新作落語をするかと思ってしまうが、夏の時季に怪談チックな噺を持ってきました。
古典落語ではあるが、ちょっと大人が楽しめるシーンが随所にあり、かなり盛り上がりました。
ペテカン コント
・女性2人が舞台で、披露宴でよくある新婦側の友人としてスピーチのコント
・40過ぎていまだに夢を追ってバンド活動しているコント
・結婚前提で付き合う二人にサプライズフラッシュモブからの披露宴
最後のコントは、一番最初の披露宴のスピーチに続いている。
コントとは言え、繋がるのある話に仕立てている。
東京03 日常の出来事
東京03は2本のコントを披露。
・自慢話の話
・落ち込む同僚
どちらも日常でありそうなサラリーマンの世界を描いていて、ちょっと大袈裟な感じもするが、こういうことが自分に降りかかれば、同じことを言っているかもしれないと思わせる作品。
リアルな部分が多く共感できる作品が多くコアなファンが多いというのも頷けます。
3人のコントと言うか演劇的なところも、観ていて納得できるところです。
日常を描くというのは、非日常を描くよりも難しいと思う。日常を描くには、共感できる部分をいかに描くかがポイントだと思う。
大袈裟すぎてもリアルすぎても、どちらも引いてしまう。
このバランスがとてもいいのが東京03ですね。
日常の出来事を元に創作しているから共感できる部分が多く、嫌みなく笑える作品が多い。
新作落語にも同じように言えるのではないでしょうか。
柳家喬太郎 新作落語「ハンバーグができるまで」
最後は、柳家喬太郎の新作落語「ハンバーグができるまで」。
開口一番では古典落語でしたが、最後は新作落語で締めくくりました。
この話は、現代の離婚した夫婦の話。
落語と言うよりも一人舞台のような感じでした。
劇団「ペテカン」も東京03も一人ではなく、話の内容に合わせて舞台装置も小道具も変えることが出来る。
しかし、落語は古典だろうが新作だろうが、着物を着て高座に上がり、人情噺・怪談噺・滑稽噺・芝居噺などあるが、すべて一人で演じ切る。
登場人物が何人いても一人で演じる。
小道具と言えば、手ぬぐいと扇子だけである。たったそれだけで、一人で高座に上がって演じているが、観ていると、そこには何人もの人物が見えてくる話芸。
まとめ
今回、古典落語と新作落語の2本を見て感じたのは、古典落語はいろいろな方が高座で演じながら、さらに話に工夫を凝らしながら引き継がれてきました。
しかし、新作落語は創作した本人だけが高座で演じている。自分で話の内容に磨きをかけていくしかない。
常に、修行しているようなものだと思う。誰からも稽古を付けてくれるわけではない。
今回の舞台で、新作落語は常に挑戦だと思う。その挑戦を続けて行くことが、落語の発展に繋がっていくと感じました。
新作落語は創作の世界でもあり、今回の劇団ペテカンや東京03も同じ創作をする集団です。
それぞれの形式は違えど、モノを作り出す世界観は同じではないだろうか。
寄席やホール落語だけでは感じることができない体験ができたことで、より落語が好きになった。
最後に驚いたのは、今回新作落語の「ハンバーグができるまで」が舞台化されます。
2019年3月20から3月24日まで銀座博品館で上演されます。
新作落語が演劇になるなんて!
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